108系案内標識について

108系案内標識は、大きく分けて「予告案内標識」と「交差点案内標識」の2つ※が、「予告案内」→「交差点案内」→「実際の交差点」という順序で表示されています。※確認案内標識はここでは除く

<予告案内標識の現状>

「予告案内」には残り距離の表示があり、この場合300m先と表示されています。「300m先」の表示を見逃し、「予告案内」を「交差点案内」と取り違えて、この標識直後の小道を誤って曲がってしまうドライバがいるという問題から、改善が必要となっています。

<国土交通省の提案1>

対策として「300m先」あるいは「300m先交差点」と大きく表示させ、「交差点案内」ではなく「予告案内」である事を強調することを検討しているようです。

問題は、「予告案内」と「交差点案内」の取り違えだけなのでしょうか?

逆に交差点を行き過ぎてしまうドライバーもいるのは何故か?

そもそも108が、予告案内と交差点案内で同じ情報を2回表示するのは何故か?

108だけでなく、カーナビでも間違えるのは何故か?

答えは全て「交差点の見つけにくさ」にあります。「300m先」等108のインターフェースを改善したり、カーナビのインターフェースを改善する事では、どうしてもその効果は限られてしまうのです。

この108標識で示される交差点情報を、カーナビのそれと比較しながら、その見つけにくさを整理してみましょう。

<カーナビの道案内>

1、交差点の形状

2、交差点までの距離

3、交差道路の通り名

4、交差点名

5、交差点周囲のランドマーク(コンビニ等)

カーナビは、この五つの情報を連続的に、音声と画面の両方で連続的に案内します。それでも道を間違えるドライバーはいるのです。

<108案内標識の道案内>

1、交差点の形状=一般的な4叉路である事

2、交差点までの距離=300m

3、交差道路の通り名=県道211号

108案内標識では、三つしか情報がありません。またその三つは全て、交差点を確実に示すものではなく、それぞれにあいまいさが残るものなのです。

1、形状だけでは、似通った交差点が前後にあれば間違える可能性があります。

2、距離は、「300m先」の表示で前方を計測し、交差点を判別するのは難しく、そこを過ぎてしまえば残り距離も分からなくなります。つまり「予告案内」において「300m先」を大きく表示しても、道間違いへの効果は限られるのです。

3、通り名は、「118-BおよびC交差道路標識の道路番号表示」が交差点手前からは見えにくいものが多く、交差点を発見する手助けになりにくい場合が多く見られます。また市道以下などで3、の情報自体ない場合も多くあります

<118-BおよびC交差道路標識の表示例>

交差点に進入するドライバーから視認する事が難しい。とくに4叉路ではない場合、表示を理解する事がより困難になる。

つまり上3つの情報では、交差点を示す「見やすく」「確実な」目印とはならず、ドライバーが手前や奥の交差点と見誤る場合があるのです。

5、交差点周囲のランドマーク(コンビニ等)を標識内に表示する事は現実には難しく、

4、交差点名を追加する事を検討してできたのが下の案と考える事ができます。

<国土交通省の提案1,2>

「○○交差点」「西平塚交差点」はともに交差点名である。

この案で考えられる問題点を、下に整理してみましょう。
問題点4−1
カーナビなどで「西落合1丁目を右」などと、長文の交差点名で指示されても、その交差点を見つけるのが困難な場合がある、という事がこれまでの研究で分かっています。
交差点名は遠くから読めない、また近隣同士が似通う、などの問題があるからです。我々はそのため、より単純な「マーク」を交差点名とともに表示することを提案しています。
問題点4−2
交差点名は長文が多く、判読時間がかかる、表示面積が要る、等の問題をもち、そもそも主要地点であり交差点名ではない、という矛盾も抱えています。
その標識の情報を、そのまま108案内標識内に表示すると、その問題と矛盾も、そこに移植されてしまう事になります。下にその例を示します。
問題点4−2−1
もともと情報量が多い108で、距離情報に加え、長文となる交差点名を追加しても、ドライバーが、運転中の限られた時間で情報を理解しきれないという問題が起きます。

<問題点4−2−1>

走行中なので、1〜2秒でこの情報量と意味を読み取らなければなりません。

問題点4−2−2
交差点名は長文であり、地図上の交差点部(+位置)ではない個所に「交差点名」を表示するしかありません。しかしこれによって直感的な理解が得られない場合があります。

<問題点4−2−2>


沖縄県那覇の数交差点では交差点名を「交差点部に」表示する試みが行なわれ、直感的に理解できる位置関係になっています。

しかしここからは、交差点名が長文だと表示余地が足りない事も分かります。

問題点4−2−3
問題点4−2−2のような表示になった結果、複数の交差点が表示されるような108で「交差点名」が上下どちらの交差点を示すのか、理解しづらくなるという問題が起きます。
このような複雑な交差点こそ、標識の案内が必要になるにも関わらず!です。

<問題点4−2−3>

下部に離して交差点名を表示すると、とくに複数の交差点が図示されている場合等に、その交差点名がどちらの交差点を示すのか、分かりにくくなります。

問題点4−2−4
主要地点標識はそもそも交差点名ではないという矛盾をもっているため、108内にそれをそのまま表示しても、文意的におかしくなる場合があります。
そこで「西平塚交差点」というように「交差点名+交差点」と表記しそれを回避すると、それが逆に混乱を助長させる恐れもあります。

<問題点4−2−4>

例えば、上記の予告案内の示す交差点名が「新橋駅」だとします。

そこで108にも「300m先新橋駅」表示したら、ドライバーや歩行者は「新橋駅は300m先か」と当然読むでしょう。しかし実際の新橋駅が300m先とは限りません、なぜなら「新橋駅という交差点名」が300m先であるだけで、新橋駅はそこから更に300m先にある可能性もあるのです。

つまり「主要地点名」をそのまま「交差点名」とし、それを108等で活用する事に無理があり、矛盾を生じかねない事が分かります。

対策として、「新橋駅交差点」と、交差点名に「交差点」と加えて108で表示させる方法もあります。しかしこの場合108と交差点名の整合性がなくなり混乱したり、文章が更に長くなる等、他の問題が起きて来てしまうのです。

以上の事から、交差点名をそのまま108内に表示させることは、情報量、表示余地、直感的な理解、矛盾、など様々な理由から困難がある事が分かります。
108案内標識は、三つの交差点情報を四つに増やすかどうか検討していますが、前述したようにカーナビでは「五つもの情報」を「連続的に」「音声画面両方で」案内していますが、それでもドライバーは間違えます。これはそもそも、ナビや108標識などの道案内側の問題ではなく、案内される交差点側の問題なのです。
我々の提案は、交差点名を直接108に表示させるのではなく、「交差点マーク」に、交差点名と108標識とをつなぐ「かすがい」のような役目を担わせる事にあります。そうする事で標識自体はシンプルになり、ドライバーの理解も容易になります。1文字なので、108に表示した際の上記の問題も起こりにくくなります。

<交差点マークによる108表示例>

対応4−2−1
増える情報量は1文字で、遠くから短時間で判読できる。
対応4−2−2
交差点部そのものに表示でき※、直感的理解ができる。
(初めてこの標識を見た人や、英語圏の人でも)
対応4−2−3
108に複数交差点が表示されていても表示できる。
対応4−2−4
マークは「交差点マーク」 であり、交差点を示す時にはマークを使う、と分離する事で、主要地点名を本来の役割へ戻すことができる。
※108に通称名が入っているときは交差点部が空いていない場合があり、その場合の対応案は「マークの活用とデザイン」で述べます。