■記号化そのものについて■
カーナビがあるのになぜ必要なのか?
逆に、カーナビの案内で誰でも運転できるために必要なのが、交差点の「目印」なのです。その目印として我々は「マーク」を提案しています。例えばナビでは600m手前から右左折の案内が始まりますが、
1=ナビの指示する交差点を、画面や音声から理解する
2=実際の交差点を見つけて、右左折の決断をする
1=は現状では、地図のランドマークや交差点名を読むため画面注視が必要ですが、マークが目印として表示されていれば、一瞬で理解でき、そのための注視時間を必要としません。
2=は名称は遠くから読めず、 ランドマークとなるコンビニ等の存在と視認性はあやふやです。マークがあれば遠方から、かつ「一瞬で」判読可能なので早めに右左折の決断ができ、余裕をもった右左折動作につながります。
これら1、2によって高齢者、初心者など弱者でもナビの案内を利用しやすい、バリアフリーな道案内を提供できると考えています。また地図や同乗者による道案内でも同様で、より分かりやすい道案内が可能になると考えます。
なぜ路「線」への工夫ではなく、交差「点」なのか?
日本では、県道以上には道路番号を振り、道案内に利用されています。しかし市道以下には番号も通り名の表示がない道路が多く、かつそれが複雑に入り組む道路事情であるので、道案内がしにくいと言われています。
ですので日本国内での道案内では、名前のない「線」より交差「点」が重宝されているのです。逆に市町村道全てに番号を振りそれを掲示する事も、番号や路線も複雑なものになり現実的ではありません。
提案の一番の目的は、その曲がるべき交差「点」の手前で指示されたドライバーが、それがどこかすぐに分かる事、というシンプルな事です。国道であっても、「246号線に右折」と理解していても、実際の246号線を見つけにくい事がよく指摘されます。これは事前に案内標識があっても、「その示す交差点がどれか」を見つけるのが難しい事のです。このことでも問題点がよく分かります。
また欧米では全通りにストリート名の表示がされていますが、交差点脇の標識や建造物にストリート名が記載されていても、運転中にとっさに判断するのが困難という問題もあります。また、国内で欧米式にこれから全通りに通り名や通り番号を振り、それを全曲がり角に掲示する事は非現実的です。
標識が氾濫して都市景観に悪いのではないか?
本研究は現状の通称交差点名標識=114-2系標識の将来像として提案しており、交差点名と一体化して信号灯火機能や地域景観に配慮したデザイン、形状を検討しています。
またマークにより、交差点そのものが見つけやすくなると、案内標識や案内看板はシンプルになると予想できます。これによって、逆に景観へ良い影響を与える事ができると考えています。
色が氾濫している都市で識別できるのか?
信号灯火とは目的が異なるので、絶対に認識させる「強制力」は必要ありません。しかし現状の114-2系の交差点名より遠方から、また誰でも認識できる性能があればよいと考えております。判読距離の実験もそれを念頭におき進めております。
ユーザーに対する告知の方法は?記号化の意味をどう知らせるのか?
現状の114-2系標識も近年ではだいぶ充実し、また地図やナビへの記載などで「交差点名」として認知、活用されつつあります。本研究はこの114-2系標識の改善を提案しており、マークの告知普及活動も必要であると考えています。
また108系交差点案内標識とのリンクや、ナビや道路地図への記載によって、ユーザーへその意味が自然に浸透していく事も期待できます。
ドライバーは交差点名、記号だけで曲がる場所を把握するものではないのでは?標識を見ずに案内できるのが理想では?
我々は将来の道路交通のあり方として、高齢化や国際化を含むユニバーサル的な観点から、ランドマークや距離に加え「誰にでも分かる目印」が必要であると提案しています。
人によって異なる環境、立場のドライバーが、自分に合った情報を選択して運転できるのが、ユニバーサルデザインなのです。
マークも、そういった選択肢の一つとして活用して頂くことが目的です。
■記号展開範囲、地域性について■
どの範囲まで展開するのか? 細かい目的地周辺の案内がナビの課題だが対応しないのか?
全曲がり角まで理論的には展開可能ですし同様の効果が期待できますが、通行量との関係から費用対効果を検討する必要があります。
現在は、「114-2系標識の将来像」として提案=主要な交差点までの整備、を目指しています。
また特定観光地など自治体要望のある経路を特定路線として増加させる、などの対応は可能となります。
また、カーナビでの細街路への誘導は危険ではないか、という考え方等もあり、我々の研究としてはそれらも参考にしながら、グランドデザインを描いていきたいと考えております。
歩行者ナビへの対応は?
道路案内標識114-2系の将来像として提案していますので、基本的にはドライバー向けとなります。マークが1文字のシンプルなものであることも、移動中に認識の必要なドライバーに最適化したものです。
しかし、歩行者ナビは小画面の少ない情報量から地図を判断する必要があり、その場合でも交差点をマークで表示する事なら容易ですし、交差点を遠方から判読できる事も歩行者に効果があります。
アルファベットでは味気なくないか?
道路案内標識は、全自動車ドライバーを対象としており、安全とユニバーサル性が重要視されます。そのため、シンプルで理解のしやすいアルファベットをマークとして推奨しています。
逆に、案内標識や案内看板もシンプルにでき、不要な看板が減り、地域の景観を保護する事につながります。それを利用して、地域性をPRする景観の表現をおこなったり、ドライバーも道案内に対する不安がなくなり運転リソースに余裕ができることで、地域性を知る余裕にもつながるのではないか、と考えています。
札幌の西3北4のような交差点名(進入方向ごとに異名称)に対しては?
北海道の道路管理者でも、現状の問題点、1交差点1記号の必要性等を理解しているようです。これらの地方の特殊事例に対しては、それぞれメリットや目的もありますので、マークを導入する際には、道路管理者との調整が必要となると考えています。
■記号案、実験について■
マークの"数字"案は、道路番号との重複が懸念される
我々の提案は「交差点マーク」です。最適記号はアルファベット案なども含め、国交省の道路番号の再整備や自治体の要請などとも合わせて整合をとっていき、ユーザーが混乱しないものを選択しようと考えています。
参考)国交省の道路番号再整備議論では、数字桁数で管理、アルファベット併用などいくつかの案があるようです。